リーダーの資質満載「悪の組織の求人広告」喜友名トト

毎日、片道1時間以上の通勤時間を利用してKindle本を耳読しています。

合本版「悪の組織の求人広告」

読み終えるまでの平均的な時間(18時間53分)

 感想…

1巻を読んだら、続きを読みたくなり合本版で読破してしまいました。

見た目は軽い本に見えます。そして「悪」の話だけれど、私の心に響いた言葉が多かったです。

設定は、日常生活の中にはないものばかりだったけれど、主人公が、悪のオーラを出す時の心の中にあるものは、社会で私たちが生きていく中で大切なことが多く感じました。

普通は躊躇するようなことでも思いついたら即座に実行し、しかも一切の容赦がない。そしてその決断と行動は他の人を巻き込み動かす。

とりあえず「悪」でなかったら、とてもいいリーダーです。リーダーの資質がたくさん盛り込まれています。

そして、正義を倒しながらも心の中では、正義のために真正面から戦っている者を、悪の主人公は賞賛しています。その姿に人間の深さを感じました。

いつも悪役で、泥臭い戦い方をしているようですが、結局、お互いに最小限のダメージでお互いに、それほど損ではない選択肢を選べるように仕向けているように思います。

心理的に与えられるダメージを上手く使えるところが、「悪」である所以なのかな、と感じました。

また、個人的には主人公がザコキャラ、いわゆる陰キャなのが、とても応援したくなりました。

本当の悪は、好き嫌いでは、動かない。 

仕事上に置き換えてみると、本当に大切なことです。

それ以外も含めて、面白かったです。この本の世界、私は好きです。

内容(「BOOK」データベースより)

『世界征服を目指す悪の組織です!明るく元気な職場が、あなたのヤル気を待ってます!』時は二十二世紀。“大多数”の人々が幸福な暮らしを送る、今より少しだけ未来。ニート青年・小森寧人はある日、不可思議なWEBサイトを発見する。それは、世界的な大企業である、悪の組織『メタリカ』の求人広告だった。難関と言われる面接を奇跡的に突破した彼だったが、配属されたのは庶務課―つまり、ザコキャラ。戦闘員となってしまうのであった。そして、彼はこの世界の正義そのもの、白銀の騎士・ディランと対峙する。理不尽に統率された世界で、寧人は組織で出会った上司や同期の女の子、ライバルと共に世界を変える戦いに挑み始める。これは自らの信念と理想に従った、普通の青年の叛逆の物語である。

著者について

●喜友名トト:小説家。

2014年『悪の組織の求人広告』でMFブックスよりデビュー。

沖縄県在住。

記憶の連続性の途切れた人間は、同じ人間として生きていると言えるのか「僕は僕の書いた小説を知らない」喜友名トト

僕は僕の書いた小説を知らない (双葉文庫)

 

Kindle本を耳読しています。

読み終えるまでの平均的な時間(3時間44分)

「記憶の連続性の途切れた人間は、同じ人間として生きていると言えるのか。」

事故で前向性健忘になった、主人公のセリフです。

短期の記憶が蓄積されないという恐怖の中、昨日までの自分と今日の自分をつなげる工夫をして、生活を続けている主人公。

覚えていないかもしれないけれども、恋愛する気持ちが体の中に生まれているのではないかという友人からの言葉に戸惑います。

毎回、初めて会う感覚の女性に、不思議な感覚が芽生えることは、脳の記憶としての連続性はないが、身体全体で覚えている感覚が脳の記憶を超えて、本人に伝えているものだろう。

1日1日の記憶しかない主人公であるが、その中でもハッピーな日やどうでもよくなる日やが存在していて、その中で1日1日をもがきながら生きている様子を見て、気づくと心の中で応援していました。

また、作中によく出てくる、主人公の言葉にはならない内言語でのツッコミや、視点のセンスが、私的にはとてもいい。

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